多くの人は腰や肩の痛みを経験していると思いますが、近ごろは「慢性的な痛みに苦しんでいる人ほど寿命が短い」というデータがあって気になります。
理由は明確ではないのですが、慢性的な痛みに悩む人ほど心臓病やガンで命を落とす率が高いとよく報告されています。
2021年に出たシドニー大学の研究 (ソース)は、「どうして慢性痛が早死ににつながるのか?」を調べています。
この研究は、腰痛や首、肩、股関節の痛みといった筋骨格系の慢性的な痛みに悩む人約20万人を対象にしています。
これを参加者のライフスタイルや死亡率などと比べたところ、以下のような傾向が見られました。
- 痛みのない人に比べて、筋骨格系の痛みを持つ人は、早死にするリスクが非常に高い
- 痛みのある部位が多ければ多いほど早死のリスクは高くなり、たとえば、肩、首、背中、膝の4つの部位に痛みがある人は、リスクが46%も高くなる
ということで、やはり慢性痛は早死にと結びついているのではないかということです。
では、どうしてそんな現象が起きるのかと言うと、
適切な身体活動レベル、禁煙、アルコール摂取の抑制、オピオイド(麻薬性鎮痛薬)の常用の回避などを調整したところ、早死にのリスクが低下した
だったそうです。
簡単に言うと、「痛みのせいで健康的な生活をおくらなくなり、そのせいで早死にのリスクが高まるのではないか?」という考えです。
研究チームによれば、
”ほとんどの人は、慢性的な痛みに対処するには、鎮痛剤と安静が最善の方法だと考えているが、それは逆である。”
とのことです。
慢性的な痛みそのものが問題ではなくて、「痛いからおとなしくしてよう」って態度になるのが問題なのではないかということですね。
それだけが原因じゃないと思いますが、もともと身体の痛みは脳の誤認であるケースが多く、安静にするより普通に運動して治すという見解のほうが一般的でなので、この結果にも納得できます。
背中を骨折したりとか、癌による痛みなど原因がはっきりしてる場合は安静と投薬が有効だとは思います。
ですが、よくわからない慢性の痛みは身体と精神が影響し合う複雑な問題なので、とりあえず痛みがあっても普通に軽い運動などを心がけるのはいいのではないでしょうか。