慢性的に体内に炎症が起きているとどんどん血管や内臓のダメージが増えて、慢性病が起きやすくなってしまいます。
炎症が起きる理由は色々あるのですが、なかでも影響が大きいのが食事 で、お菓子やお酒、加工食品など、体に悪そうなものばかり摂取してたら、炎症になりやすくなると言っていいでしょう。
ただし、具体的に「どんな食事をどれだけ食べれば炎症対策になるのか?」という点はまだ、はっきりした数字では語れないところもありました。
2021年に出たデータ(ソース)では、「体に炎症を起こす食事と起こさない食事」について詳細に調査していて、非常に参考になります。
これは、コロンビア大学などの研究で、ギリシャで行われている「HELIAD」って健康調査に参加した1059人の高齢者のデータを分析しています。
参加者の年齢は平均73.1歳で、みんなに定期的に食事アンケートを行って、そのデータを認知症の発症と比べています。
研究チームが使った「食事の炎症指数スコア」は、体内の炎症マーカー(IL-4、IL-6、L-10、TNF-α、CRPなど)と関係がある食品に数値を割り振ったもので、このスコアが高いほど体に炎症を起こしやすいと言えます。
この「食事の炎症指数スコア」には色々なパターンがありますが、おおむね、「野菜が良くて加工食品が悪い」という点は同じです。
一例として2019年の調査(ソース)から、炎症指数スコアが高い食品と低い食品を並べると以下のような感じになります。
- トマト: -0.78
- りんご、ベリー類:-0.65
- 濃い黄色やオレンジ色の野菜:-0.57
- 鶏肉 -0.45
- ナッツ:−0.44
- コーヒーとお茶:-0.25
- フルーツ:-0.16
- 葉物野菜、アブラナ科の野菜:-0.14
- 高脂肪の乳製品:-0.14
- 低脂肪の乳製品:-0.12
- 魚: -0.08
- 豆類:-0.04
- 赤身肉および内臓肉: 0.02
- 大量の酒:0.30
- 砂糖添加物:0.56
- 加工された肉 0.68
- 精製された穀物:0.72
野菜やベリー系果物が良いのは予想どおりですが、トマトが妙に高いのが面白いですね。この点はインデックスの仕方で結果が全く違ってくるので、一概にトマト最強!とは言えないものの、思わずトマトを爆食いしたくなってしまいます。
この試験では「炎症が多い食事をしてる人としてない人」を以下のような感じで分類してます。
- 炎症が少ない食事をしてる人:週に平均してフルーツ20食分、野菜19食分、豆類4食分、コーヒーまたは紅茶11食分を摂取している
- 炎症が多い食事をしてる人:週に平均してフルーツ9食分、野菜10食分、豆類2食分、コーヒーまたは紅茶9食分しか摂取していない
という感じで、炎症が多い少ないで考えると、だいぶフルーツと野菜の摂取に差がありますね。
個人的にはフルーツ9食分、野菜10食分もあるかなと心配になります。
研究では平均3年ほどの追跡調査を行い、そのうちに認知症と診断されたのが62人になります。
これを「食事の炎症指数スコア」と比べてみると、
- 食事の炎症指数スコアが1単位増加するごとに、3年間で認知症のリスクが21%増加する(HR 1.21、95%CI 1.03-1.42、P=0.023)
- 炎症性食生活のスコアが低い参加者と比べて、スコアが高かった参加者は、認知症を発症する可能性が3倍高かった(HR 3.01、95% CI 1.24-7.26、P=0.014)
だったそうです。
炎症が起きにくい食事をしている人は、その後3年以内に認知症を発症するリスクがちゃんと下がるのではないかという、結構な数値が出ました。
この研究は追跡期間がやや短かいので因果関係が違う可能性もありますが、追加の解析では「ベースライン時の軽度認知障害の有無によって結果は左右されなかった」という結果なので、やはり食事は大事だということですね。
とりあえず「週にフルーツと野菜を20食分は食べるぞ!」ってのを目標にしてみるのはいいと思います。
野菜1食分は120グラムぐらいです。