「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 」で有名なカーネマン博士は、「年収75000ドルで人間の幸福は頭打ちになる!」という有名な研究をしています。
物を買って得られる幸福には限度があるので、それ以上はいくら稼いでも無駄ではないのか?ということです。
2018年に出た論文(ソース)は、この有名な研究をさらにくわしく調べています。
これはアメリカ、パデュー大学の研究で、ギャロップ社が164カ国から集めた約170万人のデータを使ったものです。
ざっくり言うと、全員に「人生にどれぐらい満足してますか?」とか「幸福ですか?」と聞いたうえで、それぞれの年収と比較したものです。
これを各国の購買力であわせて最終的な結論を出しています。
カーネマン博士の論文は45万人ぐらいが対象なので、サンプル数はだいぶ増えてますね。
年収1000万が人生の満足度の限度
結論を言うと、
感情の幸福は年収60000から75000ドルで上限に達する!
ということで、これはカーネマン博士の結論とほぼ同じです。
1ドル113円で考えると、だいたい680万〜850万円ぐらいが幸福のマックスということになります。
が、この論文では別の結論も出てて、
人生の評価は年収95000ドルで上限に達する!
という結果も出ております。1,000万円ちょっとぐらいですね。
お金で買える幸福には2種類ある
感情の幸福と人生の評価の違いについては、
- 感情の幸福=「幸福だ」とか「悲しい」とか「興奮してる」などの、毎日味わう感情の動きということです。当然、ポジティブな感情が多いほど幸福度も高い。
- 人生の評価=「自分はうまく生きてる」や「より大きな目標に向かって生きている」や「他人よりも良い人生だ」のように、自分の人生をポジティブに過ごせているかどうかという点。
みたいな感じです。
毎日を楽しく暮らすには年収700万円もあれば十分なんだけど、自分の人生への満足度を高めるには1000万が必要ではないのか、ということですね。
さらに年収が上がると幸福度は逆に下がる
さらに、ここではもっと別のデータも出ていて、
95000ドル以上の上限を超えると、今度は逆に人生の評価も幸福度も下がる傾向があった!
だったそうです。
このような現象が起きる理由は明確には分かりませんが、
- 基本的な衣食住がちゃんと満たされるまでは金で幸福が上がっていく
- いったん暮らしの基本ラインが満たされると、今度は「物質の追求」や「他人との比較」が気になり出すので、結果的に幸福度は下がる
という感じではないかと思われます。
研究者によれば、
” 年収が95000ドルを超えたあたりから、多くの人は「自分の人生はどんな感じだろう?」や「他人よりいい人生だろうか?」といった疑問を抱き始める。”
ということで、年収が1000万を超えたら、いよいよ「足るを知る」が大事になってくるんじゃないか?ってことかもしれません。
まとめ
今回の数字は「個人の幸福」についてなので、世帯で考えた場合の幸福度がどうなのかは不明です。
単純に世帯の人数でかければいいのかはよく分かりません。
とりあえず年収1000万までは人生の評価が上がるようなので、そこまでは頑張って目指すのもありかと思います。
いっぽうでその額を超えた場合は、「「幸せをお金で買う」5つの授業」などを参考に、お金の使い道を考え直す必要があるかもしれません。