パレオダイエットとは?
基本的には、肉、卵、魚、でんぷん質の少ない野菜、ナッツ、果物はちょっとだけ大丈夫な食事療法です。
米と乳製品も少々だけなら大丈夫ですが、基本的に穀物や、加工食品、砂糖、豆類、植物油などはNGです。
簡単に言えば、原始時代の狩猟採集民が食べていた食事ということですね。
どうも人間の体は、穀物や砂糖、加工食品、サラダ油のような、農耕生活のあとに生まれた食べ物には上手く適応できてないようです。
そこで、現代の伝統的な健康法では、近代的な食事(加工食品、菓子類、インスタント食品)から農耕民の食事(穀物類、乳製品、有機野菜)への変更をすすめる場合が多いですが、パレオダイエットはさらに時代をさかのぼって狩猟採集民の食事に変えていこうという主張です。
ピレネー山中で10日間のパレオダイエット
昨日書いた記事は人間の体には適度なストレスが必要で、ストレスを与えることで健康状態が改善するというホルミーシスの話でした。
2016年に出た論文(ソース)では、パレオダイエットがホルミーシスを起動させる効果について調べていています。
参加者を10日わたってピレネー山中の放り出して、動物も自分でさばかせたという、なかなかハードな実験になっています。
研究者によれば、
” 慢性的な炎症とインスリン抵抗性の悪化は、現代的な慢性病の大半にみられる現象だ。
そこで私たちは、短期間だけ「古代に特有のストレス源」をあたえることで、外からも内からも人体の健康度が改善するのではないかと考えた。”
とのことです。
現代人の不調は適度な刺激が少なすぎるせいで起きているので、古代人の日常的なストレスを再現すれば、一気に健康になれるのではないかということですね。
これはフローニンゲン大学の22〜67才の男女55人を対象にした実験です。全員を夏のピレネー山中に送り届け、10日続けでアウトドア生活をしてもらいました。
その際のルールは、
- 毎日、水場から水場まで平均で14Kmを歩く。飲料は自然の水場からくんだ水だけを使う。
- 食事は1日2食。肉類(チキンや魚など)は生きたまま配給され、参加者は自分で動物をさばいて食べなければならない。
- 睡眠は屋外で地べたに寝る。夜間の気温は12〜21度。
とかなり厳しいルールです。生きたままの動物をさばくっていうのが恐ろしいですが。
体内の炎症が増えて逆に健康になった
食事の内容やカロリーは厳密に制限されてまして、できるだけタンザニアに住むハッツァ族の生活に近づけたらしいです。ハッツァ族の食事は、
- 1日の摂取カロリーは平均で2500kcal
- メインの食料は肉(625kcal)とワイルドベリー(625kcal)
- 2番手のカロリー源は、根菜類(425kcal)、バオバブの実(275kcal)、ハチミツ(550kcal)
- あとは、葉物野菜、フルーツ、ナッツ類を状況に応じて食べる
という感じです。
ベリー類の消費量がすごすぎですね。
さて、実験の 10日後の結果は、
- 体重5%減!
- ヒップサイズ3%減!
- ウェストサイズ5.6%減!
- ウエストヒップ比2.5%改善!
- 糖代謝12.5%改善!
- インスリン抵抗性55%改善!
- 空腹時インスリン値58.1%減!
- 中性脂肪や20%減!
- 総コレステロール値13.7%減!
- HDL/LDL比率19.3%改善!
みたいな感じで、素晴らしい成果となっています。
ただ、ここでおもしろいのは、
- 肝機能の数値が48%悪化!
- 全身の炎症レベルが110%増加!
って変化も出ているところです。
炎症レベルが増えたと聞くびっくりしますが、これはエクササイズやプチ断食などによる短期的なストレス反応のおかげで、糖代謝や中性脂肪など長期的な不調が改善したってことです。正しくホルミーシス効果が働いてる証拠になります。
参考として実験の参加者に支給された食材をならべてみました。食事だけでも真似したいという方は参考にしてみてください。
基本普段食べているものばかりですが、穀物や乳製品がないのが大きいですね。
バナナ
リンゴ
メロン
マンゴー
パイナップル
スイカ
なつめ
玉ねぎ
レタス
キュウリ
にんにく
オリーブ
人参
マッシュルーム
ズッキーニ
アスパラガス
アボカド
かぼちゃ
長ネギ
さつまいも
ココナッツ
レーズン
ベリー類
ナッツ類
ハチミツ
オリーブオイル
鹿
鶏肉
淡水魚
ダック
マグロ
卵