メタ認知は「自分の思考についての思考」のことで、自分の状態をモニタリングしたり、現状を評価したりといった時に使う能力のことです。
つまり、メタ認知が低いと、なにが現在の問題なのかすらわからないので、まともな計画が立てられず、ひたすら泥のなかでもがき続けるようなっちゃうわけです。
2012年にでた「学生のメタ認知を育てよう!」という論文(ソース)は、学校の先生が生徒のメタ認知を育てる方法をまとめたレビューですが、大人にも十分使える内容かと思います。
メタ的に問題に取り組む4つのステップ
具体的には、まず以下の4つのステップで問題に取り組むのが基本になります。
- ステップ1.事前評価:「新しいことを学ぶにあたって、自分はすでにこのトピックについて何を知っているだろう?」という質問で、自分の「現在の思考」を深掘りするように働きかけます。
- ステップ2.混乱ポイント:「今日学んだことのなかで、もっとも自分にとって意味不明だった点はどこだろう?」」といった質問で、「何がわからないのかがわからない!」状態を抜け出します。
- ステップ3.「事前評価」の評価:事前評価の段階と現在で、自分の考え方がどう変わったかを深掘りする。「このテキストを学ぶ前は◯◯だと思ってたけど、いまは◯◯だと思っている」「自分の考え方の、このポイントが変化した」みたいな感じになります。
- ステップ4.思考の記録:ステップ1〜3までを記録に残しておく。「自分がテストのために準備したことは◯◯で、次には何をすべきかを考えた。事前の準備でうまくいったのは◯◯で、次に変えるべきポイントは?」みたいな感じです。
このガイドラインは役に立ちそうです。
新たな仕事に取り組むときに使ってもいいですし、1冊の本を読むときに実践しても理解レベルがアップしそうです。
新しいレシピを試すときなどにも心がけておくと、料理のスキルが上がりそうな気がします。
メタ認知をアップさせる質問集
さらに本論では、メタ認知をアップさせるためのセルフ質問集がついていて、具体的には、以下のようになっています。50ほど質問がありますが、いくつか取り上げてみました。
仕事を始める前に使う質問
- この仕事の具体的なゴールはなんだろう?
- この仕事について、現時点で何を知っているだろう?
- この仕事をこなすためにできる準備はなんだろう?
- この仕事をうまく達成するのに必要な要素はなんだろう?
- 仕事を達成するのに必要なリソースはなんだろう?自分がそのリソースを持っていると確認する手段はあるだろうか?
- 仕事の達成にかかる時間はどれぐらいだろう?
- 仕事の進捗状況をモニタリングする方法はあるか?
- この仕事から何を得たいのか?
- この仕事を達成することで、自分のどのスキルを伸ばしたいのか?
仕事してる途中で使う質問
- この仕事を行っている自分は、どんな知見を得ているのか?どんな経験をしているのか?
- (前に進まないときは)自分は何に対して混乱しているのか?
- 仕事を楽しめているだろうか? 答えが「いいえ」の場合、仕事が「他人事」から「我が事」に変える方法はないだろうか?
- 仕事を達成するために、他のリソースは使えないだろうか? そのリソースを得るために何ができるだろうか?
- この仕事でもっとも困難なポイントはどこだろう? もっとも理解ができないポイントはどこだろう?
- 困難なポイントに対して、違うアプローチはできないだろうか?
- どこまで仕事の手順をシステム化できているだろうか?
- いま使っている戦術は上手く機能しているだろうか?
- 自分が悩んでいるポイントは明確になっているか? 答えが「いいえ」の場合、どうすれば明確にできるか?
仕事が終わった後に使う質問
- 今日は具体的になんの仕事をしたのか?
- 今日やった仕事は、以前の自分の理解と食い違っていないか?
- 今日の仕事で得たアイデアは、これまでの仕事にどう関係があるのか?
- 自分が仕事について抱いた疑問や難点を解決、または明確化するにはどうすればいいだろうか?
- うまくいかなかったポイントはどこだろう? なぜうまくいかなかったのだろう? 正しい方法とくらべて、自分が取った行動はどうだっただろう?
- まだよく理解できていないポイントないだろうか? そのポイントを明確化する方法はあるだろうか?
- もし同じ仕事をするときが来たら、次はどこを変えるべきだろう? 変えないでもよい点はどこだろう?
- 事前の計画でうまくいったのは何だろう?
- 事前の計画でうまくいかなかったのは何だろう?
まとめ
以上のように、メタ認知を鍛えるための質問集でした。
基本的には「できるだけタスクのルールとゴールを明確にしよう」というのがポイントになっています。
ゲームの仕組みを使って人のやる気を誘発し、行動を促し現実の問題を解決する「人生のゲーミフィケーション」にも通じるところがあります。
メタ認知を鍛えるために意識して上記の質問を考えてみてもいいかと思います。